miu miu財布がま口
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null「玉屋は江戸町きっての大見世の老|舗《しにせ》だ。浅霧だって、かりにもそこの呼び出し昼三《ちゆうさん》だぜ。いいかげんな局《つぼね》女郎とはわけがちがう。そんな狂言は自分の得にならないぜ」 「そのとおりだ」  二人が思案投げ首しているところに、弁天屋の表の戸があいた。  この日、おえんは朝でていったきり、まだかえってきていなかった。  やがて、おえんが提灯《ちようちん》をかたづけながら用談部屋に姿をあらわした。 「おかえりなさい、お嬢さん。聞きこみはどうでした」  さっそく浜蔵がたずねた。 「時三郎は以前にも吉原《なか》で、おいらんに怪我を負わせていたよ。昨年、京町の愛|宕屋《あたごや》で若鶴《わかつる》というおいらんがやはり大怪我を負わされて、とんだ目にあったそうだよ。やっぱり時三郎は相当な道具の持主らしい」  おえんの言葉で浜蔵と又之助は顔を見合わせた。正反対の聞きこみがでてきた。 「そのとき、愛宕屋ではさわぎにならなかったのですかね」  又之助がたずねた。 「愛宕屋の番頭が山形屋に掛け合いにでかけたそうだけど、てんで相手にされなかったそうだよ。怪我をしたのは気の毒だけれど、こちらに非はまったくないとつっぱねられて、とうとううやむやにされちまったらしい。若鶴も外聞がわるいといって、愛宕屋では表沙汰《おもてざた》にしなかったようだね」 「それで味をしめて、時三郎はほとぼりのさめたころを見はからって、またやったというわけか」 「ゆるしちゃおけねえ、わるい野郎だ」  浜蔵と又之助は憤慨した。 「それにしても、やつのものはでかいのか、並みなのかさっぱりわからなくなっちまった。ここが大事なところだが、謎はふかまる一方だ……」 「これはまともな聞きこみだけじゃあ、すみそうにねえな」 「時三郎の内懐にとびこまなきゃあならないね」