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2015-02-06 22:12    ミュウミュウ 二つ折り財布
 明日香は息をつめた。客から大金を預かる証券会社員や銀行員や不動産セールスマンなどに、よくある話である。南急ナポレオンの企画開発課長という要職にある稲垣啓四郎までが、そうだったとは知らなかった——。 「それで、その穴を埋めるために彼は次々に客の資金や資産に手をつけて、発覚しないよう自転車操業をしていました。ぼくの妹の美紀は、彼の部下で恋愛関係にあったから稲垣の不正に気づき、初めは惚れた弱味で救おうとして一生懸命、自分の貯金まではたいて、穴埋めに協力していたようです。でも、それでも手におえなくなって、妹は正気にかえり稲垣に、そういう危ないことはやめて警察に自首して下さい、と諫《いさ》めはじめたようなんです」 「それで稲垣は、美紀さんがうっとうしくなり、密告されると危ないと思って殺したというの?」 「そうです。そうしてそのアリバイ作りに利用されたのが、奥さん、あなたなんですよ。不倫願望に身体を熱くしていた汚れない、世間知らずの美人妻である伊集院明日香、あなただったんです」  明日香は一瞬、眼を閉じた。心の中でしゅっと、燃えたった白い炎があった。  河野はそのやつれた美しい人妻の顔から眼をそらし、芦ノ湖の水面に眼をやった。  明日香もひどい目にあったものだが、考えてみれば、稲垣も可哀想である。  高騰する首都圏の地価に対処するために考案された、都心部の遊休土地活用と資産管理を目的とした南急ナポレオンの「全面委託請負方式」によるパーソナル・プロジェクトは、それを請負う企業側にとっても、委託する個人にとっても、両刃の剣だったといえよう。  地価が高くなって、土地を入手しづらくなった住宅会社にとっては、個人の土地を大金を投じて「購入」する必要もなく、そっくり預かって利用して、ビルやマンションや住宅を提供し、事業を行なえるというメリットがあり、個人にとっても、土地を手放さずに、大手住宅会社に「信託」したまま、相続税や事業費を捻出できて、そのアパート経営やマンション経営の利潤が転がりこみ、しかも自分では煩わしい事業を一切しなくていい、という双方にいいことずくめのシステムではあるが、そこにこそ、人間にとっての「盲点」があったわけである。  何しろ、資産を預かって動かす企業側の担当者には、誘惑とリスクが多い。時価五億とも十億ともいう物件を預かって、自分の才覚で動かすことができるのである。もちろん、双方で何通もの契約書をとり交わして、勝手にはできない仕組みや手枷《てかせ》足枷《あしかせ》はあるが、いざとなったら、実印も証書も委任状も預かり、役所や登記所に行って、その土地を右から左に動かす業務を「代行」することができるのである。  万一、その男にどうしても緊急に大金が必要な状況が生じ、かつ、短期間でそれを穴埋めする見通しがあって、委託者にはいっさい迷惑がかからない、という見込みさえあれば、その男は今、預かっている十数億円の資産のほんの一部を動かして、当面、必要な二億か三億の金を作ろう、という考えに傾くだろう。それは人間の当然の弱味と誘惑と帰結である。  稲垣啓四郎が、まさにそうであった。  彼は一種の、ブーム人間であったらしい。日本経済が活況を呈し、バブル景気で世の中が株だ、財テクだ、と浮かれている時、お決まりのNTTはじめ幾つかの株に手をだし、魔の月曜日の暴落で大穴をあけた。それを取り返そうとして客から預かっていたマンションの頭金や住宅の払込金などの現金を流用して株の「追い証」に使い、局面を支えているうちに、株価はもっと値下がりしていって、穴と欠損金は膨らむばかり。とうとう現金だけではなく、客から預かった実印や権利証書を悪用して土地を担保に、銀行から資金を借りたり、転売したりするまでになったようである。  いわば、溺れ谷。そこに落ちて、あがいた男と女。稲垣啓四郎もまさにそうだし、河野の妹の美紀もそうだし、伊集院明日香もまた、そうだったかもしれない。 「さて、終わりましたね。奥さん、これからどうなさいます?」  河野は明日香に聞いた。 「……やっと真相がわかったばかりで、私にはまだ、これからのことは何も考えが浮かびません」 「奥さんは、大丈夫ですよ。弱いようでも案外、強いところがある。ふてぶてしいところがある。一時は密会の夜のアリバイを主張なさって、あの稲垣を頑固に守り通そうとなさっていたくらいですから」