「図」 プラダサフィアーノ二つ折り_ブランドプラダ 二 つ折り 財布 レディースオファー 買ってプラダ 二 つ折り 財布 レディース贈り物


2015-02-06 21:51    プラダ 二 つ折り 財布 レディース
 鈴木首相は打てば響くように即答した。 「やりますよ。私はそのつもりですから」  木戸はすっかりご機嫌になった。わが説得のいかに効があったことかと。九時四十五分に東郷外相に電話した木戸の声は躍っていた。 「総理を受諾に同意させたから、ご安心を」  そのころ宮城を後に、小石川の私邸へ向う車の中で、鈴木首相は中国の兵法書『六韜』のなかにあり、常日頃愛誦している文句をしずかに誦している。   事するに必克より大なるはなし   用ふるに玄黙より大なるはなし   動ずるに不意より神なるはなし   謀するは識らしめずを善しとす  木戸内大臣の狼狽ともとれる説得が首相にはおかしかった。平沼枢相のいう強硬論に変身したつもりはまったくない。枢相の意見に反対を表明しなかったのは、首相のいつもの流儀なのである。あくまでも慎重な姿勢を保持したにすぎない。戦争継続派の陸軍中堅将校が今朝いらいさかんに平沼邸に出入りし、かつぎだそうとしている、という情報を首相は得ていた。後継首相の椅子をちらつかされて、かつがれはじめた人にどうして本心をいえようか。事をなすときは必成を期し、動の場合には不意をつく、謀は他人に知らしめず、そしてことごとに|喋々《ちようちよう》することなく玄黙──もの静かに黙することこそがいちばんと首相は考えている。  眼に走りゆく窓外の首都は、|蕭条《しようじよう》たる焼野で、|黒洞々《こくとうとう》たる闇に包まれている。底なしの淵のようにみえる。国体を護持し得ての戦争終結の望みも、まだまだはるかなる彼方にあるのかもしれない。灯はまだ見えぬ。  同じころ、宮内省の一室で、宮内大臣石渡荘太郎がひとり悲痛の想いに捉われていた。それは、首相が底なしの淵をのぞいたと同様に、天皇もまた前途に光明のない運命をみつめているのだ、という胸の痛くなるような回想だった。  この日、宮相は天皇によばれ、やっと疎開を納得された貞明皇太后に会いたい、という希望をいわれたのである。天皇は、至急にその手続きをとってくれるように、といい、 「自分はいま和平を結ぼうと思って骨を折っているが、これが成功するかどうか、正直いってわからない。だから、あるいは皇太后様にお目にかかれるのも、こんどが最後になるかもしれない。一目お会いしてお別れを申し上げたい」  と淋しそうにいった。  石渡宮相は、天皇が決死の覚悟をしていることに打たれた。聖断が下ったとはいえ、和平はなお遠いのか。宮相もじっと窓外の闇をみつめた。  東京湾へ向う第三艦隊(機動部隊)旗艦の艦橋で、猛将ハルゼイ大将もじりじりする想いで闇をみつめていた。一時日本に対する空襲を見合わせ、警戒態勢のみで東京湾へ向うように指令されていたからである。  アメリカ政府は、日本からの一分一秒でも早い再回答を待ちのぞんでいる。すでにバーンズ回答を送ってから一昼夜になろうとする、にもかかわらず日本政府からは何らの反応もない。米政府は次第に焦燥をつのらせていった。日本軍が何事かを策し、時間かせぎをしているのではないだろうか。